ショートショート『山手線』

5人の男女が小さな部屋にいる。いるというよりも、強制的に集められたというべきだろうか。
スピーカーから『話を始めてください。』という声が流れ、私たちはそれに従った。
しばらく会話を続けていると、部屋中に大きなブザーの音が響き渡り、5人の中の1人が退場させられた。
それと同時に、彼の座っていた椅子も片付けられた。

4人になった私たちに向かって、スピーカーからまた声が流れた。
『話を始めてください。』
「いつまでこんなことをやらせるんだよ!」
荒い口調で年配の男性が叫んだ。
『予定では最後の一人になるまで続けさせていただくつもりです。それでは始め!』
1分ほど沈黙が続いた後、私の隣に座っている眼鏡を掛けた男が言った。
「めちゃくちゃすぎる!こんな話を続けるぐらいなら、みんなでいっそのこと…」
「とっ、とりあえずテーマを変えましょうよ。例えばジャンボ宝くじの種類とか」
OL風の女性が、彼のマイナス思考を払拭するように新たな話題を提供した。
「簡単そうだから、先に言っておくぜ。オータム!」
年配の男が、相変わらず荒々しく答えた。間髪を入れず、話題を出した女性が答える。
「難しいところから攻めてきましたね。じゃあ、私は年末」
「次は僕が答えますけどいいですか?…ドリーム」眼鏡の男が控え目に答えた。
いよいよ私の番だ。あと、何が残ってるんだ…。焦り始めた私に、女性が小声で話し掛けてきた。
「無理して答える必要はないのよ。誰かが落ちるのを待てばいいの。こういうのってタイミングが大事なんだからね。タイミング!」
それを聞いて、私はすかさず大声で答えた。
「グリーン!」
その直後、私は血の気が引いていくのを感じた。先ほどと同じブザーが部屋に鳴り響く。
「いや、違うんだ!今のは…」
スピーカーに向かって叫んだが、無駄だった。
私は引きずられながら女性の方を見たが、その表情はほんの少しだけ微笑んでいるようだった。
年配の男と眼鏡の男は、同情と安堵の入り交じった顔をしていた。
最初の男を見送ったとき、私もこんな顔をしていたのだろうかと思った。

『話を始めてください。』


※この物語はフィクションです。原案には「宝くじ」は登場しません。


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by ufo | 2011-06-26 23:59 | ★宝くじ | Trackback | Comments(0)
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